フィットの故障・持病
フィットは世代ごとに変速機の仕組みが違い、持病もそこで分かれます。初代・2代目(GD・GE)はスタートクラッチ付きのCVT、3代目のハイブリッド(GP5・GP6)は7速のDCT(i-DCD)、3代目のガソリン(GK)はCVT、4代目のハイブリッド(GR3など)はDCTを持たない e:HEV です。「フィットのミッション」とひとくくりにせず、まず自分の型式がどれかを見てください。ここでは整備工場の目線で、世代ごとに「何から疑うか」を整理します。
型式・エンジンを選ぶと、その車の持病・症例・多い故障に切り替わります。
イラストはイメージです症状から見る
エンジン L13A 1.3L ガソリン(初代・2代目、CVT)
- 雨漏り・室内が濡れる19件
- 発進時のジャダー・ガクガク19件
- エンスト・走行中に止まる18件
- 変速ショック・ギクシャク16件
- 走行中のハンドル・車体の振動14件
- エンジンからカンカン・ノッキング音9件
- 加速しない・パワーが出ない8件
- 部品の破損・脱落7件
エンジン L13B 1.3L ガソリン(CVT)
エンジン LEB 1.5L ハイブリッド i-DCD(7速DCT)
全エンジン
エンジンを問わず出るもの
雨漏りはフィット全体で目立つ持病で、初代のルーフの溶接部、リアゲートまわり、ウェザーストリップから入ります。錆に進む前に見つけたいところです。
ハブベアリングの唸り(速度に応じたゴー音)は初代・2代目の8万km前後に多く、リア側からの事例もあります。
中古で買うとき・長く乗るときに見るところ
GP5・GP6 のハイブリッドは、リコールの改修歴と、発進時のジャダーの有無、クラッチの交換歴を確認します。試乗では渋滞を模した低速の発進停止を何度か繰り返し、ショックや遅れが出ないかを見ます。山道や長い登り坂を多く走る使い方なら、この世代のDCTは向き不向きがあることも頭に入れてください。
初代・2代目は発進時のガクガクが無いか、雨漏りの跡(荷室のカーペット下、リアシート足元)が無いかを見ます。4代目の e:HEV とガソリンの GK は、変速機の心配は小さく、スターターとバッテリーの状態を押さえれば十分です。確定は点検で。
この車で多い故障(部品別)
集めた整備事例294件のうち、どの部品が原因・交換になったかの割合です。走っている台数あたりの故障率ではありません。
- CVT(無段変速機)65件 22%主な症状: 発進時のジャダー・ガクガク走行70,000km前後で多い
- クラッチ22件 7%主な症状: ギアが入らない・動かない走行70,000km前後で多い
- イグニッションコイル20件 7%主な症状: エンスト・走行中に止まる走行70,000km前後で多い
- ルーフ・溶接部13件 4%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行90,000km前後で多い
- ハブベアリング13件 4%主な症状: 車の下・床下からの異音走行80,000km前後で多い
- DCT(デュアルクラッチ変速機)12件 4%主な症状: 加速しない・パワーが出ない走行80,000km前後で多い
- イグニッションスイッチ10件 3%主な症状: 警告灯が複数・全部つく走行60,000km前後で多い
- 配線・コネクタ(断線・接触不良)10件 3%主な症状: 部品の破損・脱落走行50,000km前後で多い
- ECU(コンピューター)9件 3%主な症状: エンスト・走行中に止まる走行60,000km前後で多い
- ウェザーストリップ・シール9件 3%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行50,000km前後で多い
3代目ハイブリッド GP5・GP6(LEB、7速DCT i-DCD、2013〜2020年)
- 型式
GP5GP6- 年式
- 2013〜2020年
- エンジン
- 1.5L 直4 + モーター(i-DCD)、7速デュアルクラッチ変速機
変速機はCVTではなくDCT。クラッチの熱と摩耗が持病で、発売直後は制御の改修が続いた
まず疑うのはDCT(デュアルクラッチ変速機)とそのクラッチです。事例では走行距離7万km前後、2014〜2018年式に寄っていて、症状は発進時のジャダー(ガクガク・ゴー音)、ギアが入らない・動かない、回転だけ上がって進まない、加速しない、として出ます。乾式クラッチを電子制御で繋ぐ仕組みなので、渋滞のノロノロ運転や、いろは坂のような連続する上り坂を低速で登り続けるとクラッチが熱を持ち、保護のために動力を抜いたり、その場で止まって冷えるまで動けなくなることがあります。登坂路で「突然進まなくなった」という話は、この世代ならまずここを疑います。
発売直後の2013〜2014年式は、DCTの制御プログラムの不具合でリコールが短期間に繰り返し出ています。改修を受けていない車、受けていても発進のショックが残る車は、ソフトの版と学習値のリセット、そのうえでクラッチの摩耗を見ます。クラッチ本体の交換は高額になるので、ジャダーが出始めた段階で診てもらうのが得です。
次に多いのがイグニッションスイッチで、警告灯が一斉に点く、電源が落ちるという形で出ます(2013〜2016年式、6万km前後)。電動パーキング周りやブレーキ制御のコンピューター(Pレンジに入らない、ブレーキの効きが悪い)の事例も数件あります。距離が伸びると補機バッテリーの弱りが警告灯の多発として現れるので、まず12Vバッテリーの状態を確認してから制御系を疑うのが順番です。
症状から見る
- 走行不能・走れない8件
- ギアが入らない・動かない8件
- 警告灯が複数・全部つく8件
- 警告灯点灯(種類不明)8件・監修待ち
- 加速しない・パワーが出ない6件・監修待ち
- 回転だけ上がって進まない(滑り)6件・監修待ち
- ブレーキ警告灯点灯5件・監修待ち
- ブレーキの効きが悪い・ペダルが深い4件・監修待ち
- エンジンからの異音(冷間時)4件・監修待ち
- エンスト・走行中に止まる3件・監修待ち
- エンジンがかからない(セルが回らない)3件・監修待ち
多い故障(部品別)
- クラッチ17件 25%主な症状: ギアが入らない・動かない走行70,000km前後で多い
- DCT(デュアルクラッチ変速機)12件 17%主な症状: 加速しない・パワーが出ない走行80,000km前後で多い
- イグニッションスイッチ9件 13%主な症状: 警告灯が複数・全部つく走行60,000km前後で多い
- ECU(コンピューター)4件 6%主な症状: ブレーキの効きが悪い・ペダルが深い走行30,000km前後で多い
- ABSユニット3件 4%主な症状: ブレーキの効きが悪い・ペダルが深い走行50,000km前後で多い
- 駆動用バッテリー(HVバッテリー)2件 3%
- イグニッションコイル2件 3%主な症状: 失火・ガクガクする
- ABS・ブレーキ制御コンピューター1件 1%
4代目ハイブリッド GR3・GR4・GR6(e:HEV、2020年〜)
- 型式
GR3GR4GR6GR8- 年式
- 2020年〜
- エンジン
- 1.5L 直4 + 2モーター(e:HEV)、DCT無し
仕組みが変わりDCTの持病から解放された。事例はまだ少なく、運転支援まわりが目につく程度
4代目はエンジンで発電しモーターで走る e:HEV になり、3代目のようなDCTのクラッチの問題はありません。集めた事例はまだ少なく、目につくのはカメラ(Honda SENSING)の誤作動や警告、走行中に電源が落ちたという申告です。新しい車なので、傾向はこれから固まっていきます。
変速機の不具合を疑う前に、この世代は「変速機が無い」ことを頭に置いてください。加速が鈍い・うなる、という訴えはエンジンとモーターの切り替えの仕方によるもので、3代目とは別物です。
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- 部品の破損・脱落2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- カメラ(運転支援・バック)2件 20%主な症状: 走行中に電源が落ちる・システム停止
- ブラケット・ステー1件 10%
- ブレーキフルード1件 10%
- パワーステアリング(ポンプ・モーター)1件 10%主な症状: ハンドルが重い
- ショックアブソーバー1件 10%
- クリアランスソナー1件 10%主な症状: 意図しない急ブレーキ・急減速
- ステアリングインターミディエイトシャフト1件 10%主な症状: ハンドルが取られる・まっすぐ走らない
- ワイパーゴム1件 10%主な症状: 車の下からビビリ・カタカタ音
3代目・4代目ガソリン GK3・GK4/GR1・GR5(L13B、CVT)
- 型式
GK3GK4GR1GR2GR5GR7- 年式
- 2013年〜
- エンジン
- 1.3L 直4 ガソリン、CVT
ガソリンのCVTは素直。目立つのはスターターとプラグ
まず挙がるのはスターターモーターで、エンジンがかからない・セルが回らない、という形で2013〜2015年式の事例に寄っています(7万km前後)。次にスパークプラグとエンジン制御コンピューターで、エンストや加速不良として出ます。3代目ハイブリッドのようなDCTの持病はこの世代にはありません。
CVTそのものの事例は初代・2代目に比べてぐっと少なく、変速ショックやジャダーの訴えは多くありません。エンジンマウントの劣化による振動と異音が、距離が伸びた車で出てきます。
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- エンジンがかからない(セルが回らない)9件
- エンスト・走行中に止まる4件・監修待ち
- 加速しない・パワーが出ない3件・監修待ち
- ハンドルが取られる・まっすぐ走らない2件・監修待ち
- 走行中のハンドル・車体の振動2件・監修待ち
- エンジン警告灯(チェックランプ)点灯2件・監修待ち
- アイドリングストップしない・警告2件・監修待ち
- 雨漏り・室内が濡れる2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- スターターモーター6件 19%主な症状: エンジンがかからない(セルが回らない)走行70,000km前後で多い
- スパークプラグ4件 13%
- バッテリー3件 9%主な症状: ハンドルが取られる・まっすぐ走らない
- ECU(コンピューター)3件 9%
- エンジンマウント2件 6%主な症状: エンジンからの異音
- ABS・ブレーキ制御コンピューター1件 3%
- ABSユニット1件 3%
- エアバッグ1件 3%主な症状: 意図しない急加速(申告)
3代目 1.5L GK5・GK6(L15B、CVT)
- 型式
GK5GK6- 年式
- 2013〜2020年
- エンジン
- 1.5L 直4 ガソリン、CVT(RS は6速MTもあり)
事例は少ない。L13B と同じくスターターから
事例はまだ少なく、出ているのはスターターモーター(セルは回るがかからない・かからない)と雨漏りです。傾向は1.3Lの GK3・GK4 と同じ見方で差し支えありません。
症状から見る
このエンジンの監修済み症例はまだありません。「全エンジン」のページも参考にしてください。
多い故障(部品別)
- スターターモーター2件 67%主な症状: セルは回るがかからない
- ウェザーストリップ・シール1件 33%
2代目ハイブリッド GP1・GP4(LDA・LEA、IMA、CVT)
- 型式
GP1GP4- 年式
- 2010〜2013年
- エンジン
- 1.3L 直4 + 薄型モーター(IMA)、CVT
こちらはCVT。IMAバッテリーの劣化と、CVTの滑りが年数で出る
3代目と違い、この世代のハイブリッドはCVTです。事例は少ないものの、加速しない・回転だけ上がって進まない(CVT)、ハイブリッドシステム警告(駆動用バッテリーのセル電圧のばらつき)、電動ファンの停止によるエンストが挙がっています。IMAのバッテリーは年数で容量が落ち、警告が出る前にアシストが弱くなる(登り坂で力が無い)ことが多いので、そこを目安にします。
症状から見る
- 加速しない・パワーが出ない2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- ベルトテンショナー1件 17%主な症状: エンジンからの異音
- コンロッド(エンジン内部破損)1件 17%
- CVT(無段変速機)1件 17%
- 電動ファン1件 17%
- ボルテージセンサー(HVバッテリー)1件 17%主な症状: ハイブリッドシステム警告
- 配線・コネクタ(断線・接触不良)1件 17%主な症状: 焦げ臭い・ゴム臭い
初代・2代目 GD1・GD2/GE6・GE7(L13A、CVT)
- 型式
GD1GD2GE6GE7- 年式
- 2001〜2013年
- エンジン
- 1.3L 直4 i-DSI ガソリン、CVT(初代はスタートクラッチ式)
初代のCVTは発進のジャダーが持病。次にイグニッションコイルの失火
まず疑うのはCVTです。事例の半分近くがここで、発進時のジャダー(ガクガク)と変速ショックとして出ます(7万km前後、2001〜2009年式)。初代(GD)はトルクコンバーターの代わりに湿式のスタートクラッチで発進する仕組みで、このクラッチの摩耗とフルードの劣化がジャダーの正体です。フルード交換で一時的に収まることが多く、戻ってくればクラッチ本体の作業になります。2代目(GE)からトルクコンバーター式になり、この症状はぐっと減りました。
次がイグニッションコイルとスパークプラグで、エンストと失火(アイドリング不調、加速時の息つき)として出ます(2004〜2008年式)。i-DSI は1気筒に2本のプラグを持つので、プラグは8本、コイルも8本あることを忘れずに。
距離が伸びた車ではハブベアリング(速度に応じたゴー音)と、ルーフの溶接部やウェザーストリップからの雨漏り(2002〜2006年式)が続きます。雨漏りは荷室やリアシート足元が濡れる形で見つかります。
症状から見る
- 雨漏り・室内が濡れる19件
- 発進時のジャダー・ガクガク19件
- エンスト・走行中に止まる18件
- 変速ショック・ギクシャク16件
- 走行中のハンドル・車体の振動14件
- エンジンからカンカン・ノッキング音9件
- 加速しない・パワーが出ない8件
- 部品の破損・脱落7件
- 回転だけ上がって進まない(滑り)10件・監修待ち
- 走行不能・走れない6件・監修待ち
- ギアが入らない・動かない6件・監修待ち
- アイドリング不調・振動5件・監修待ち
- ABS・横滑り警告灯点灯5件・監修待ち
- エアバッグ警告灯点灯5件・監修待ち
- エンジン警告灯(チェックランプ)点灯5件・監修待ち
- ライト・ランプが点かない4件・監修待ち
多い故障(部品別)
- CVT(無段変速機)56件 38%主な症状: 発進時のジャダー・ガクガク走行70,000km前後で多い
- イグニッションコイル17件 12%主な症状: エンスト・走行中に止まる走行70,000km前後で多い
- ハブベアリング10件 7%主な症状: 車の下・床下からの異音走行80,000km前後で多い
- ルーフ・溶接部8件 5%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行90,000km前後で多い
- ウェザーストリップ・シール5件 3%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行50,000km前後で多い
- 配線・コネクタ(断線・接触不良)5件 3%主な症状: ライト・ランプが点かない走行60,000km前後で多い
- スパークプラグ4件 3%主な症状: エンスト・走行中に止まる走行90,000km前後で多い
- エアバッグ3件 2%主な症状: エアバッグ警告灯点灯走行40,000km前後で多い
初代・2代目 1.5L GD3・GD4/GE8(L15A、CVT)
- 型式
GD3GD4GD8GD9GE8GE9- 年式
- 2002〜2013年
- エンジン
- 1.5L 直4 VTEC ガソリン、CVT
1.3L と同じ持病。CVTの発進ジャダーと雨漏り
事例は1.3Lより少ないですが顔ぶれは同じで、CVTの発進時のジャダーとエンスト(スタートクラッチ)、ルーフ溶接部の雨漏り、ハブベアリングが並びます。見方は GD1・GD2 と同じです。
症状から見る
- 雨漏り・室内が濡れる5件・監修待ち
- 発進時のジャダー・ガクガク4件・監修待ち
- エンスト・走行中に止まる3件・監修待ち
- 走行中のハンドル・車体の振動3件・監修待ち
- リア(デフ・後ろ)からのうなり・異音2件・監修待ち
- ギアが入らない・動かない2件・監修待ち
- 変速ショック・ギクシャク2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- CVT(無段変速機)6件 23%主な症状: 発進時のジャダー・ガクガク走行80,000km前後で多い
- ルーフ・溶接部4件 15%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行110,000km前後で多い
- ハブベアリング3件 12%主な症状: リア(デフ・後ろ)からのうなり・異音走行80,000km前後で多い
- クラッチ2件 8%
- コイルスプリング1件 4%
- コンロッド(エンジン内部破損)1件 4%
- デファレンシャル(デフ)1件 4%主な症状: リア(デフ・後ろ)からのうなり・異音
- ドライブシャフト1件 4%
監修:株式会社たま(関東運輸局長認証工場) 監修日:2026-09-13
