タントの故障・持病
タントは2代目(L375・L385)以降がKFエンジンにCVTという組み合わせです。表に出る申告はウォーターポンプ、ミラクルオープンドアまわりの雨漏りとラッチ、CVTに集まりますが、整備工場でいちばん数を見るのは初期KFのオイル消費と、そこから来る点火まわりの不調です。初代(L350・L360)はEFエンジンで顔ぶれが違います。ここでは整備工場の目線で、世代ごとに「何から疑うか」を整理します。
型式・エンジンを選ぶと、その車の持病・症例・多い故障に切り替わります。
イラストはイメージです症状から見る
エンジン EF 0.66L(初代 L350・L360)
エンジン KF 0.66L(2代目 L375・L385、CVT)
全エンジン
エンジンを問わず出るもの
イグニッションスイッチの接触不良(警告灯が複数点く、ドアロックが勝手に動く、かからない)は初代から3代目まで出ています。電装の症状が複数同時に出たら、バッテリーの次にここを疑います。
オルタネーターの異音と発電不良は全世代にあり、軽自動車らしく距離より年数で出ます。
オイルの消費と点火まわりの関係は、KFを積むムーヴ・ミラ・ミライース・ミラココアでも同じです。軽自動車は回転を上げて使うぶんオイルの管理が効いてきます。
中古で買うとき・長く乗るときに見るところ
2代目(L375・L385)は、まずオイルの量と汚れ、そしてプラグとコイルの交換歴を聞きます。短い期間に何度も点火系を替えている車は、オイルの消費が背景にあることが多いです。
助手席側の足元と後席の床が濡れた跡が無いか、ウォーターポンプの交換歴があるかを見ます。ウォーターポンプは異音が出る前に予防で替えてもよい部品です。
CVTは発進と変速のショック、オイルのにじみを試乗と下回りで確かめます。確定は点検で。
この車で多い故障(部品別)
集めた整備事例155件のうち、どの部品が原因・交換になったかの割合です。走っている台数あたりの故障率ではありません。
- ウォーターポンプ14件 9%主な症状: エンジンからの異音(冷間時)走行50,000km前後で多い
- CVT(無段変速機)12件 8%主な症状: 変速ショック・ギクシャク走行70,000km前後で多い
- ウェザーストリップ・シール12件 8%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行50,000km前後で多い
- オルタネーター(発電機)9件 6%主な症状: 部品の破損・脱落走行70,000km前後で多い
- イグニッションスイッチ8件 5%主な症状: ドアロック・スマートキーが効かない走行40,000km前後で多い
- ブラケット・ステー7件 5%主な症状: 部品の破損・脱落走行70,000km前後で多い
- 配線・コネクタ(断線・接触不良)6件 4%主な症状: 加速しない・パワーが出ない走行80,000km前後で多い
- ドアラッチ・ドアハンドル5件 3%主な症状: ドアが開かない・閉まらない走行20,000km前後で多い
- スパークプラグ4件 3%
- エアコンコンプレッサー3件 2%主な症状: エアコンが冷えない
2代目 L375・L385(KF、CVT、2007〜2013年)
- 型式
L375L385- 年式
- 2007〜2013年
- エンジン
- 0.66L 直3 KF(NA・ターボ)、CVT
初期KFのオイル消費と点火まわり。ウォーターポンプ、雨漏り、CVT
この世代でまず頭に置くのはオイルの消費です。2008〜2012年式のKFは、ピストンのオイルリングがカーボンで固まってオイルを食うようになる個体があり、集めた事例でもオイルが減る・エンジンから異音として6〜9万km前後に出ています。オイル警告灯が点いてから気づくと手遅れで、そこまで行くとエンジンを開けることになります。距離のわりにオイルが減る、マフラーから白い煙が出る、という段階で見てもらう話です。
そしてオイルを食う車は、その先で点火まわりが壊れます。燃焼室に入ったオイルでスパークプラグが汚れ、火が飛びにくくなって失火し、無理に高い電圧を出そうとしたイグニッションコイルが先に音を上げる、という順番です。事例でもスパークプラグとイグニッションコイルが2〜5万kmという若い距離で出ていて、アイドリングの震え、加速の息つき、エンジン警告灯の点滅として現れます。コイルを替えても間もなく同じ症状が戻るときは、コイルではなくオイルの消費を疑います。ここが切り分けの勘所です。
申告として多いのはウォーターポンプで、エンジンからのウィーン・ヒュー音として2009〜2015年式、5万km前後に集中しています。KFのウォーターポンプはベアリングの摩耗で音が出始め、放っておくと冷却水漏れとオーバーヒートに進みます。異音の段階で替えるのが安く済みます。
次が雨漏りです。ウェザーストリップとシールの不良で、2008〜2011年式、5万km前後に出ています。助手席側のピラーレス(ミラクルオープンドア)は水が入りやすく、足元のカーペットが濡れる、電装が不安定になる、という形で見つかります。ドアラッチとドアハンドル(開かない、走行中に開く)も同じ構造の持病です。
CVTはオイル漏れと走行不能、変速ショックとして7万km前後で出ます。イグニッションスイッチ(警告灯が複数、ドアロックの誤作動、かからない)と配線・コネクタが続きます。
整備現場での定番
ここに挙げるのは、国への申告件数ではなく、整備工場で日常的に直している定番です。統計に出にくいものも含みます。費用は部品+工賃の目安で、状態と地域で変わります。
- EGRバルブのカーボン詰まり(P0400)チェックランプ、アイドリング不調、信号待ちでエンスト
KFエンジンでいちばん多く直している定番です。バルブを替えるだけでは再発しやすいので、EGRの通路とスロットルボディの清掃をセットで行います。
目安 清掃 1.5〜3万円、バルブ交換込みで 3〜5万円
- オイル上がり(ピストンリングの固着)オイルが減る、冷間で白煙、ガラガラ音
放っておくとオイル切れで焼き付きます。
目安 リング交換 15〜25万円、状態によってはエンジン載せ替え
- タイミングチェーンの伸び朝一番のガラガラ・ジャラジャラ音
進むとバルブタイミングがずれてチェックランプが点きます。
目安 8〜12万円
- ウォーターポンプ冷間のシャー音、冷却水が減る
音の段階で替えるのが安く済みます。
目安 3〜5万円
- イグニッションコイルの失火加速で息つき、チェックランプ
オイルを食う車はプラグが汚れて失火し、コイルが先に壊れます。
目安 1本 1〜1.5万円、3本同時で 3〜4万円
- エアコンコンプレッサーの焼き付き夏場にガラガラ音、そのあと冷えなくなる
エキスパンションバルブやリキッドタンクの詰まりを伴うことがあり、コンプレッサーだけ替えても直らない場合が多いです。
目安 10〜15万円
- CVTのジャダー・すべり発進でブルブル、加速で回転だけ上がる
早い段階ならフルードの交換で落ち着くことがあります。
目安 フルード交換 1〜1.5万円、CVT載せ替え(リビルト)25〜40万円
- フロントのハブベアリング速度に比例したゴー音
目安 片側 2〜3万円
- スライドドア(ミラクルオープンドア)のケーブル切れ・ローラー摩耗電動が途中で止まる、手で開けると重い
目安 3〜5万円
- 電動パワステの警告灯ハンドルが急に重くなる
目安 5〜10万円
- 雨漏り助手席側の足元が濡れる
柱のない開口部のウェザーストリップからです。申告としても多く、症例ページのとおりです。
2013年12月に届け出られたCVT関連のリコールにタントが含まれます。対象かどうかは年式では判断できないので、車台番号で照会してください。
症状から見る
- エンジンからの異音(冷間時)5件
- 雨漏り・室内が濡れる11件・監修待ち
- 加速しない・パワーが出ない4件・監修待ち
- 走行不能・走れない4件・監修待ち
- エンジンからガラガラ・カラカラ音4件・監修待ち
- オイルが減る・オイル消費3件・監修待ち
- オイル漏れ・オイルにじみ3件・監修待ち
- エンジンからウィーン・ヒュー音3件・監修待ち
- 車の下・床下からの異音3件・監修待ち
多い故障(部品別)
- ウェザーストリップ・シール11件 18%主な症状: 雨漏り・室内が濡れる走行50,000km前後で多い
- CVT(無段変速機)6件 10%主な症状: 走行不能・走れない走行100,000km前後で多い
- ウォーターポンプ6件 10%主な症状: エンジンからの異音(冷間時)走行30,000km前後で多い
- ピストンリング(オイル上がり)3件 5%主な症状: オイルが減る・オイル消費走行80,000km前後で多い
- スパークプラグ3件 5%
- 配線・コネクタ(断線・接触不良)3件 5%主な症状: ライト・ランプが点かない
- オルタネーター(発電機)2件 3%主な症状: エンジンからウィーン・ヒュー音
- ドアラッチ・ドアハンドル2件 3%主な症状: 走行中にドアが開く・ロック不良
3代目 LA600・LA610(KF、CVT、2013〜2019年)
- 型式
LA600LA610- 年式
- 2013〜2019年
- エンジン
- 0.66L 直3 KF(NA・ターボ)、CVT、スマートアシスト
顔ぶれは2代目と同じ。ウォーターポンプ、CVT、電装
ウォーターポンプの異音は3代目でも続き、CVT、イグニッションスイッチ、配線・コネクタ(バッテリー上がり、ライト)が並びます。雨漏りは2代目より減っています。オイルの消費は2代目より落ち着いていますが、無くなったわけではないので、オイルの量は自分でも見ておきます。スマートアシスト付きの車は運転支援の警告や誤作動の申告が加わりますが、原因が特定された事例はまだ少ないです。
整備現場での定番
ここに挙げるのは、国への申告件数ではなく、整備工場で日常的に直している定番です。統計に出にくいものも含みます。費用は部品+工賃の目安で、状態と地域で変わります。
- EGRとブローバイラインの詰まり(P0400)チェックランプ、アイドリング不調
エコアイドルの初期の年式で多く出ます。EGRを新品にしても、ブローバイラインを清掃しないと再点灯します。
目安 2〜4万円
- アイドリングストップ用バッテリーアイドリングストップしなくなる
専用品(M-42)で普通のバッテリーより高価です。これが最初の合図になります。
目安 2〜3万円
- オルタネーターバッテリーの警告灯、発電不良
この世代の弱点として部品商でも知られています。
目安 4〜6万円
- CVTのジャダー発進でブルブル
2代目と同じです。
目安 フルード交換 1〜1.5万円、載せ替え 25〜40万円
- オイル上がり・ウォーターポンプオイルが減る、冷間のシャー音
2代目と同じKFなので、同じ持病が出ます。
目安 2代目と同じ
2013年9月〜2016年10月の生産分に、ブレーキの効きが悪くなる不具合のリコールがあります。中古で買うときは改善措置が済んでいるか確認してください。
デンソー製の燃料ポンプのリコールも対象年式が広いので、車台番号で照会してください。
症状から見る
- 冷却水漏れ・減る3件・監修待ち
- エンジンからの異音(冷間時)3件・監修待ち
- ドアが開かない・閉まらない2件・監修待ち
- オイル漏れ・オイルにじみ2件・監修待ち
- エンスト・走行中に止まる2件・監修待ち
- キュルキュル音(ベルト鳴き)2件・監修待ち
- 警告灯が複数・全部つく2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- ウォーターポンプ6件 19%主な症状: 冷却水漏れ・減る走行50,000km前後で多い
- CVT(無段変速機)4件 13%主な症状: オイル漏れ・オイルにじみ走行40,000km前後で多い
- ドアロックアクチュエーター2件 6%主な症状: ドアが開かない・閉まらない
- ファンベルト・補機ベルト2件 6%主な症状: キュルキュル音(ベルト鳴き)
- スターターモーター2件 6%主な症状: ナビ・メーターが再起動する・消える
- ターボチャージャー2件 6%
- ABSユニット1件 3%
- オルタネーター(発電機)1件 3%
4代目 LA650・LA660(KF、D-CVT、2019年〜)
- 型式
LA650LA660- 年式
- 2019年〜
- エンジン
- 0.66L 直3 KF(NA・ターボ)、D-CVT(ギヤ併用のCVT)
事例はまだ少ない。D-CVTは仕組みが変わったので3代目までの見方をそのまま使わない
新しい世代で事例はまだ少なく、傾向を語れる段階ではありません。変速機はベルトとギヤを併用するD-CVTになり、3代目までのCVTとは構造が違います。ウォーターポンプと電装は同じKFなので、当面は3代目の見方を借ります。
整備現場での定番
ここに挙げるのは、国への申告件数ではなく、整備工場で日常的に直している定番です。統計に出にくいものも含みます。費用は部品+工賃の目安で、状態と地域で変わります。
- スマートキー・電動パーキングブレーキまわりの電装反応しない、警告が出る
年数の経った定番はまだ少なく、いま相談として入ってくるのはこのあたりです。
デンソー製の燃料ポンプのリコールの対象年式に入ります。車台番号で照会してください。
症状から見る
- 警告灯が複数・全部つく2件・監修待ち
- 警告灯点灯(種類不明)2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- イグニッションスイッチ4件 21%主な症状: ドアロック・スマートキーが効かない走行40,000km前後で多い
- 配線・コネクタ(断線・接触不良)2件 11%主な症状: バッテリー上がり・弱い
- ABS・ブレーキ制御コンピューター1件 5%主な症状: ABS・横滑り警告灯点灯
- エアバッグ1件 5%主な症状: エアバッグが作動しなかった
- バッテリー1件 5%主な症状: アイドリングストップしない・警告
- ブロワーモーター1件 5%主な症状: エアコンをつけると異音
- カメラ(運転支援・バック)1件 5%主な症状: 運転支援の誤作動・誤警報
- CVT(無段変速機)1件 5%主な症状: 変速ショック・ギクシャク
タントエグゼ L455・L465(KF、2009〜2014年)
- 型式
L455L465- 年式
- 2009〜2014年
- エンジン
- 0.66L 直3 KF、CVT
2代目タントと同じ中身。見方も同じ
ピラーレスではない兄弟車で、事例は少ないですが顔ぶれは2代目タントと同じです。ウォーターポンプの異音とCVTから見ます。
症状から見る
このエンジンの監修済み症例はまだありません。「全エンジン」のページも参考にしてください。
多い故障(部品別)
- オルタネーター(発電機)1件 17%
- AT(オートマチック)1件 17%
- ボディパネル・車体1件 17%主な症状: 錆・腐食
- ドアラッチ・ドアハンドル1件 17%主な症状: ドアが開かない・閉まらない
- タイヤ1件 17%主な症状: タイヤの片減り・偏摩耗
- ウォーターポンプ1件 17%主な症状: エンジンからウィーン・ヒュー音
初代 L350・L360(EF、2003〜2007年)
- 型式
L350L360- 年式
- 2003〜2007年
- エンジン
- 0.66L 直3 EF、4AT/CVT
ステー類の破損とオルタネーター。インテークマニホールドの冷却水漏れ
まず挙がるのはブラケット・ステーの破損(部品の脱落、ドアが開かない)とオルタネーター(バッテリー警告灯、部品の破損)で、年数の経った車らしい顔ぶれです。次がインテークマニホールドからの冷却水漏れ(水温警告灯、10万km前後)で、EFは樹脂のインマニに冷却水の通路があり、ここが割れて漏れます。O2センサーによるエンジン警告灯も2004年式に固まっています。
整備現場での定番
ここに挙げるのは、国への申告件数ではなく、整備工場で日常的に直している定番です。統計に出にくいものも含みます。費用は部品+工賃の目安で、状態と地域で変わります。
- タイミングベルト10万km または 10年で交換時期
この世代はチェーンではなくベルトです。切れるとバルブとピストンがぶつかってエンジン内部が壊れます。ウォーターポンプとテンショナーを同時に替えるのが普通です。
目安 4〜6万円
- イグニッションコイルの失火加速でブルブル、チェックランプ
1本ずつ壊れていきます。
目安 1本 1〜1.5万円
- カムカバー・ヘッドまわりのオイルにじみエンジン上面からの漏れが焼けて臭う
パッキンの交換で収まります。
目安 1〜2万円
- オルタネーターバッテリーの警告灯が点く
リビルト品との交換が一般的です。
目安 4〜6万円
- 4ATの変速ショック・すべり変速のたびにショック、回転だけ上がる
ATFの劣化とソレノイドの動きを見ます。
目安 ATF交換 1万円前後、AT本体なら20万円超
症状から見る
- 部品の破損・脱落10件
- エンジン警告灯(チェックランプ)点灯4件・監修待ち
- ブレーキの効きが悪い・ペダルが深い2件・監修待ち
- 冷却水漏れ・減る2件・監修待ち
- ドアロック・スマートキーが効かない2件・監修待ち
- オイル漏れ・オイルにじみ2件・監修待ち
- エンスト・走行中に止まる2件・監修待ち
- エンジンがかからない(セルが回らない)2件・監修待ち
- バッテリー警告灯点灯2件・監修待ち
多い故障(部品別)
- ブラケット・ステー6件 19%主な症状: 部品の破損・脱落走行60,000km前後で多い
- オルタネーター(発電機)5件 16%主な症状: 部品の破損・脱落走行60,000km前後で多い
- イグニッションスイッチ3件 9%
- インテークマニホールド3件 9%主な症状: 冷却水漏れ・減る走行100,000km前後で多い
- O2センサー・A/Fセンサー3件 9%主な症状: エンジン警告灯(チェックランプ)点灯走行40,000km前後で多い
- ブレーキブースター2件 6%主な症状: ブレーキの効きが悪い・ペダルが深い
- エアコンコンプレッサー1件 3%主な症状: エアコンが冷えない
- ベルトテンショナー1件 3%
監修:株式会社たま(関東運輸局長認証工場) 監修日:2026-09-13
